【緊急】サクラ印ハチミツの自主回収について勝手に思う

食品製造

お疲れさまです

くおりです

今回は2021年10月7日に発表したサクラ印ハチミツの自主回収についてコメントします

結論から言えば、回収は今回の流れではやむなし

ただし、消費者への健康被害も想定されないし、メーカーの株式会社加藤美蜂園本舗さんには今回を教訓に食品安全の仕組みづくりに取り組んでいって欲しい

今回のだめなポイントは、社内で”法律”に違反していたが、実質的な健康被害も想定されないことがわかっていたので、改善していなかったこと

メーカー発信の文書で厚生労働省の見解として今回の法律の基準値0.01ppmよりも8倍濃い濃度」、0.08ppmのはちみつを、体重60kgの人が毎日750kgとっても問題ないとされている

いくつか疑問が出てくるのではないだろうか

  • 基準を超えた場合はどうなるの?グリホサートとは?
  • 食品安全に影響がないのに回収する必要はある?
  • メーカーとしてどうしていればよかったのか?

以上を説明していきます

基準を超えた場合はどうなるの?グリホサートとは?

効率よく生産するために農薬を使いますよね

そもそもの説明を最初にします

今回、サクラ印ハチミツで残留農薬「グリホサート」が国の基準である0.01ppm(ppmは濃度の単位。1ppmは100万分の1)を超えたものであったという問題です

グリホサートは除草剤で市販では「ラウンドアップ・マックスロード」が使われています

アミノ酸とリンの合成物で市販で売られている通り、比較的危険性は低めの除草剤です

今回ははちみつでもアルゼンチン産とカナダ産のものが食品衛生法の基準を逸脱していた状態でした

こちらの食品衛生法は2006年にもともと基準のないものを一律で0.01ppmと規定しておりました

ちなみに他の国での基準ではカナダ0.1ppm(日本の10倍)、EU0.05ppm(日本の5倍)となっております

どの程度の逸脱だったのか?

今回の逸脱は0.02~0.03ppmと、国内の基準からは2~3倍ではありますが、EUの基準では半分、カナダの基準では4分の位置の濃度で、海外の法律では問題のない状態でした

ただ、最初に記載したとおり、0.08ppmの濃度であっても毎日750kg食べないと悪影響は出ません

とはいうものの、生の野菜を我々が食べる時にほかからも摂取することが問題となる考えもあります

他の作物の例を見てみましょう

グリホサート基準値
食品名残留基準値(ppm)食品名残留基準値(ppm)
0.1こまつな0.2
小麦30にんじん0.2
とうもろこし5トマト0.2
大豆20みかん0.5
小豆類10りんご0.2
えんどう5いちご0.2
はくさい0.2ひまわりの種子40
(厚生労働省告示第361号より抜粋)

さて、気づいた人もいるかもしれませんが、はちみつって、そんなに食べますか?

上記の欄にある小麦や大豆のほうが食べませんか?

今回のはちみつの一日に取る量と、基準の濃度を考えれば、それが人に影響を与えるかどうかはイメージできるのではないでしょうか

結論、それで人の健康には影響はなさそうですよね

ちなみにグリホサートは神経毒、発がん性、繁殖能への影響があるとされております

しかし、毎日相当な量を継続して摂取した場合に限ります

食品安全に影響しないのに回収の必要がある?

今回の回収は”法令違反”と”企業責任”での回収となります

その基準がどうであれ、すでに見直しが入った基準であれ、食品衛生法に違反していたので回収

さらに、それを企業内で認識できていたが、回収せずにいて、内部告発?を元に情報が出て、企業責任として回収した

これは回収せざるを得なかったように思います

また、このサクラ印ハチミツを使った他のお菓子などの食品についても合わせて回収となっております

正直、この原料で使った程度であれば、そのお菓子に5%以下や0.5%など非常に低い濃度で使用しているものは回収の必要はないと思っています

最終的な食品、製品としての残留濃度が、人体への影響がないことが明確であり、その食品自体の安全性や、法律での基準が担保されれば必要ありません

ただ、その製品でしようする原料で法令違反があったために、それを使った製品も回収するのは日本らしいと言えば日本らしい

一つの不正でほかも”右へならえ”で一緒に回収していくのは忖度ともいうべきか・・・

SDGs、食品ロスという観点も含めて考えれば、きちんと知識と説明をもって、「今回の自社のサクラ印ハチミツを使った製品は回収しません!」という企業が出てきて欲しいですね

食品ロスについてはこちらの記事を参考
回収の判断の参考はこちら

メーカーとしてどうしていればよかったのか?

では、メーカーとしてはどうしていればよかったのか?

今回の状況では回収の判断はやむ無しです

2つやらなくてはいけない事がありました

一つは問題点を見つけたら改善すること

もう一つは社内統制をとること

問題点を見つけたら改善すること

今回は企業の中での認識はあったようです

その際に勇気を持って社内でプロジェクトにして取り組むことで解決は出来たのではないでしょうか

直近で起こった事象というよりも過去からの出来事に思いますし、基準が出来たときに話をするべきです

オーナー企業の特性かもしれませんが、損を嫌い、大きな得を逃しているパターンになります

食品偽装について社内でも検討し、その際はどこに聞くのか、マニュアルを整備しておくこと

問題が発覚したら早急に対応していれば今回のような大きな事態には至らなかったように思います

早急に対応し、その時点での回収や生産停止の判断は一旦の損を生みますが、信頼という大きな得を同時に生むことを全体視野で見れなかったことが問題です

そのためには、食品偽装について想定したマニュアルを事前に準備し、オーナー経営者であってもそれに乗っ取り行動できることが必要でした

これはISO22000のPDCAをやっていけば自然と準備出来ていたでしょう

社内統制をとること

社内統制といっても内部告発が無いように、従業員を縛り付けろ!ではありません

問題があり、結果として今回は回収しない、という判断をしたのであれば、きちんと説明すべきです

問題を隠すかのように、判断を曖昧にして周囲に伝えていると社内統制は取れません

今回の企業として守りたいものはなんだったのでしょうか?

企業の方針はなんだっったのでしょうか?

加藤美蜂園本舗さんの企業理念を見てみましょう

存在意義

  • 食を通じて美と健康を創造し、お客様に幸せを届けます
  • はちみつのある食文化を社会に広めることで、豊かな自然環境を育みます

経営姿勢

  • 地域社会の食材と食生活を探求し、生産者とお客様をつなぐ架け橋に徹します
  • 顧客ニーズにフレキシブルに対応し、チャレンジ精神を持ってお客様の信頼に応えます
  • ブランドロイヤリティーを高めるために、ブランドコンセプトを大切にします

改めて見ると、今回の件が社内でわかった時点で、はちみつの食文化を広めることができなくなるかもしれない→法律について意見書を出す

顧客ニーズにフレキシブルに対応、顧客ニーズには安定供給や法令上問題ないものの供給がなかったのか

ブランドコンセプトに違反していなかったのか

問題があり、判断する時に最終的に拠り所となるのが企業理念のはずが、今回はあまり考慮されていなかったように思います

企業理念に基づいて、こういう方向性で進むというのが明確になっており、それが社内に確実に伝わっていれば告発という形での発覚や回収には至らなかったように思えました

まとめ

今回は緊急でサクラ印ハチミツの回収について書かせてもらいました

持論も多くあります

ただ、企業・メーカーとして問題をそのままにしておいた場合のいい例だと思いました

中小企業も多く、オーナー社長の権力が強い場合はこういった不正の隠蔽や偽装という形に走ってしまいがちです

ただそれを食い止めるには社内でのルールを整備することと、社内の理念にしたがって行動していくことが重要です

本来であれば早めに対応していれば企業の価値・ブランドの価値向上につながったチャンスを、オーナー社長への忖度や社内の雰囲気による空気を読む習慣が勝ったことで掴みそこねました

問題が発覚したらピンチはピンチできちんと目をそむけずに対応する企業姿勢が今後も求められてきます

改めて、社内での細かな問題をそのまま放置していないか

きちんと社内で検討し、方向性を出して進めていけてるか

他山の石として、関係ないと思わずに自社のことと捉えて検討してみるのが、皆さんの会社の価値を上げる第一歩になります

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ぜひ、一緒に考え、学び成長していきましょう

特にそれぞれの苦労話や、今悩んでいることがあれば、相談ください!

必ず返答させてもらいます

今回の記事を見て、農薬が不安になった方は以下のサイトで野菜を取り寄せてみては?

コメント

  1. まる より:

    >これは回収せざる負えなかったように思います

    〜せざるを得ない、です。負わないで下さい。

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