お疲れさまです
くおりです
今回はISO22000の「4項組織の状況」について話をしていきます
ISOシリーズ(ISO22000,9001,14001など)は1項~10項で構成されています
社内でISOのマニュアル(今回であれば食品安全マニュアル)を作ろうとしたときにはこの項番で作ることをおすすめします
今回の記事ではその項番でマニュアルを作る際に役立つように書いていきます
これらの記事を読み、コピペしてもいいのでWordで作り始めることから社内ルールのスタートです!
では、進めていきます
ISO全体の構成
ISOシリーズはHLSという上位構造から規格構成が共通化されています
ISO22000やISO9001,ISO14001でも同様ですが、それぞれFSMS、QMS、EMSとFS(食品安全)かQ(品質)かE(環境)を見ているのかで変わっています
運用の”8”では違いが大きいですが、他の項目についてはほぼ同様の構成となっています
とくに食品安全マネジメントシステム(FSMS)のISO22000の場合は8に”HACCP”を含むことが特徴です
今回は実際のPDCAが始まるよりも更に前の段階、4項を説明していきます
ちなみに1~10とありますが、このサイトでは1”項”として説明していきます
人によっては1”章”など他の表現もありますが特に規定はされていないようです
4.組織の状況
今回はISO22000の実際のPDCAの最初、組織の状況を説明します
3つのサブカテゴリーで構成されています
4.1 組織及びその状況の理解
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.3 食品安全マネジメントシステムの適用範囲の決定
4.4 食品安全マネジメントシステム
最初に組織の状況を把握→次に、組織を取り巻く利害関係者を把握
→そのニーズ、要求事項を理解する
そして状況とニーズを把握した上で適用範囲を決定する
その結果を踏まえて、食品安全マネジメントシステムを定義していきます
では、個別に詳細を説明していきます
4.1 組織及びその状況の理解
組織、会社の目的に関連する食品安全にまつわる課題を明確にすることが必要です
言葉としては以下のようになります
組織の目的に関連し、FSMSに関連する課題を明確にする
参考資料:経営会議議事録、品質保証会議議事録、工場会議議事録、方針発表会資料、マネジメントレビュー
食品安全マニュアルには上記の言葉で入れれば問題ないでしょう
実際の監査の際にはトップマネジメントのインタビューで示され、その客観的証拠としてそれぞれの会議体やマネジメントレビューが該当することになります
方針発表がされた際の組織の方向性、目的を示した資料もその課題から来ていることになるので明確なエビデンス、客観的証拠となります
課題の抽出のポイント
会議を示せばいいとは言え、ポイントや要点があるので説明します
課題は内部と外部とわけて考えましょう
内部の課題
組織の販売している製品やその製品構成を確認し、特有の課題はないか ex..腐りやすい、特定の規格が存在する)
製品を生産する工場や設備での課題はないか ex..老朽化、能力不足
従業員の力量、組織としての課題はないか ex..品質部門の力量不足、総務の人財不足
技術や商品開発力としての課題はないか ex..開発スキル不足、法令認識不足
外部の課題
顧客ニーズ、顧客要求事項の課題 ex..品質レベルが高く負担、価格が合わない
原料メーカー、サプライヤーの課題 ex..品質が安定しない、対応が遅い、業者が限定
市場や競合他社 ex..新しいものを出しても大手が真似してくる、人口減少
業界や公的機関 ex..業界指針の変更、法令の変更
その他 ex..環境問題、ITやDXの流れ、フードテロ、偽装問題
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.1の外部の課題ともリンクしてきます
利害関係者を明確にして、そのニーズを明確にすることです
組織は一つでは成り立たずその前後の工程や取り巻く関係者、利害関係者のニーズを満たしてすすまなければいけません
これをサプライチェーンといいます
工場であればその原料を作る原料メーカーや、原料の農家さん、運搬する物流会社、作ったものを仕分けするセンターやスーパーなどの小売があって、やっと消費者のもとに行きます
こういった前後の関係者も利害関係者となります
また、組織、会社を取り巻く環境には法律や条例、業界があります
これらも、国や県、保健所、業界団体も利害関係者となります
また、金融機関や株式会社であれば株主も重要な利害関係者となるはずです
利害関係者とそのニーズの例
利害関係者とそのニーズの例を示します
- 利害関係者・・・ニーズ
- 金融機関、株主・・・返済、配当、企業の存続
- サプライヤー(供給者)・・・安定した購買、適正価格での購買
- 提供者(販売先)・・・安定した製品供給、品質、価格
- 国、県、保健所、業界団体・・・衛生環境、法令遵守、業界ルールの遵守
- 消費者・・・安心、安全でおいしいもの、ブランド
これらのニーズを満たしたものが価値となります
マニュアルへの記載は以下の通りとなります
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
当社は、食品安全上の法令、規制及び顧客要求事項を満たす製品及びサービスを提供できる能力を持つことを確実にする。そのために、以下の事項を明確にする。これらの利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を食品安全チームで特定し、更新する(関連文書名:品質保証会議議事録など)⇒6.1
a)FSMSに密接に関連する利害関係者
b)FSMSに密接に関連する利害関係者の要求事項
当社は、利害関係者及びその要求事項に関する情報を特定し、レビューし、更新する。
(以下、一覧表にて利害関係者とそのニーズを示す)
4.3 食品安全マネジメントシステムの適用範囲の決定
多くの場合は工場、事業所単位で取得を目指すため、この章の意味がわからないかもしれません
ISO22000では工場の状態にもよりますが、限られたラインで、カテゴリーも限定的に取得も可能です
これは4.1や4.2で組織の状況を明確にした時に、組織として最低限、メイン商品や顧客要求事項の強い商品を作るところだけを取得する際には明確に定義が必要です
いわゆるPB、プライベートブランドをやる際に限定的に取る場合もあるかと思います
たま、工程の一部を外部へアウトソーシングしている場合もこの項目が活きてきます
外包装は外部でやる場合などは、この章で明確にしておきましょう
マニュアルへは以下のような記載になります
4.3食品安全マネジメントシステムの適用範囲の決定
当社は、 FSMSの適用範囲を定め決定する。適用範囲はFSMSが対象とする製品及びサービス、プロセス及び生産工場を規定する。適用範囲は、最終製品の食品安全に影響を与えうる活動、プロセス、製品、サービスを含む。
当社は、FSMSの適用範囲を決定する場合、以下の事項を考慮して、適用範囲を決定し、適用範囲は、食品安全マニュアルにて利用可能な状態にしておく(6.1の参考情報とする)。
(a) 4.1に規定する外部及び内部の課題
(b) 4.2に規定する、密接に関連する利害関係者の要求事項
4.4食品安全マネジメントシステム
ここでは組織がISO22000の規格に沿ってFSMS(食品安全マネジメントシステム)を確立することを要求しています
組織としてFSMSをやりますと言うのを宣言して以下の流れでやることを定義しましょう
食品安全マネジメントシステムの定義
- 確立し
- 実施し
- 維持し
- 更新し
- 継続的に改善する
PDCAを回すことを食品安全マニュアルの4.4項では組織としても定義することが求められます
マニュアルへの記載は以下のようになります
4.4 食品安全マネジメントシステム
当社は、ISO22000:2018の要求事項に従って、必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む、FSMSを確立し、実施し、維持し、かつ、継続的に改善を行う
まとめ
今回は食品安全マネジメントシステム、ISO22000の実際の内容の最初、4項について説明しました
4項ではプランを作って実施するよりも前段階として、”現状把握”の項となっています
現状把握としては、組織の現状と、組織を取り巻く利害関係者のニーズを抑えることが大事です
それらを踏まえて、組織の中での適用範囲を決定し、確立し、実施し、維持し、更新し、継続的に改善することを定義することがここの項では求められます
まずはマニュアルではそれらの要求事項をそのまま、記載し、組織の中での文書に照らし合わせて参考資料を添付したり、認識で一部変更したりすることから始めましょう
最初から完璧を目指さずにやりながら修正していくつもりでどんどん作っていくことをおすすめします
ご意見お待ちしております
質問、ご意見お待ちしております
お問合せフォームからお送りください
ぜひ、一緒に考え、学び成長していきましょう
特にそれぞれの苦労話や、今悩んでいることがあれば、相談ください!
必ず返答させてもらいます
ISO22000の本を購入する際はこちらから!
TS22002-1を知る際はこちらを使ってください!
コメント