【社内マニュアル作成に役立つ】ISO22000の【8項運用】8.1~8.4

ISO22000 8 8.1-8.4 ISO22000,FSSC22000

みなさん!お疲れさまです

くおりです

今回から8項の説明となります

8項はPDCAのD、運用・実施のDoのところです

PDCAの図

他の項目に比べて非常に内容が多く、実用的なため、個別で解説していきます

ただ、難しいわけではありません

現実に近く、最も具体的な事象が多く内容が多くなっています

その中でも多くを占めるのは”8.5項のハザード管理”です

これは食品安全の肝であるHACCPのことになります

HACCPを知っている人はHACCPだけでも計画があり、実施とそのチェックがあるのを理解しているかと思います

HACCP実践編

HACCPだけでも3日間の講習がコーデックス委員会では決められているためかなりのボリューム!!

それを含んでいるので8項の運用はどうしても大きくなってしまっています

8項 運用の大枠

8項 運用 8.1~8.4

8項の運用についてはその中でもPDCAがあります

PLANとして、8.1~8.4項

8.5項以降でDO,CHECK、ACTが行われます

8.5項以降ではHACCPの内容となってきますので、実際には7原則12手順となります

もし、HACCPをすでに導入している所があれば、更新することでこの項目の要求事項は満たせます

ただ、HACCPに追加の事項もあるので、それを取りこぼすと不適合・観察事項となりますので注意が必要です

8項のPLAN

8.1~8.4がPLANとなります

これまでの4~7項でのPLANを前提にHACCPを行うためにより、具体的な計画を作ります

ちなみに法令遵守が多く出てきます

この辺は食品衛生法の別表17が該当しますのでこちらも参考にして下さい

【8.1では運用の計画及び管理】

【8.1では運用の計画及び管理】を行います

これまでの計画では組織としての計画、会社の上層部や間接部門、管理職の計画の意味合いが強かったです

8.1項ではまさに現場の計画となります

HACCPを行う・食品を安全に管理するための計画を作ります

=(イコール)作業内容を決めていきます

【8.2項前提条件プログラム(PRPs)】

【8.2項前提条件プログラム(PRPs)】では現場で安全に食品を作る上での具体的な設備の基準や要件、維持管理方法を明確にしていきます

製造部の中で設備担当の保守計画や、日常の点検、建物の土地や構造、設備の安全性、掃除の方法、食品表示、ゾーニングなどを決めていくことがこの項目です

ちなみに8.2項の内容はそのままISO/TS22002-1の内容に紐付いています

PRPsは一般衛生管理プログラムであり、GMP(適正製造規範)やGHP(適正衛生規範)に該当します

HACCPをやる上での土台となるものがPRP,一般衛生管理プログラムとなります

HACCPピラミッド

上図のようにHACCPをやる上で土台となるのが一般衛生管理プログラムであり、教育や危害の管理

経営者の管理責任=コミットメントがあって、やっとHACCPが成り立つという考え方に基づいています

一般衛生管理のことはこちらに記載があります

【8.3項 トレーサビリティシステム】

【8.3項 トレーサビリティシステム】 では製品の追跡可能な状態へします

トレース、追跡するためには何が必要か、どのようにやるのかを決めるのがこの項です

トレーサビリティシステムの細かさ、ロットの細かさについては基本企業毎で決めることができます

賞味期限から追跡すると、その賞味期限を製造した一日のロットになるかもしれません

さらに細かくするためにQRコードで識別したり、番号を打って時間をわかるようにするのも有効です

何分何秒、どのラインで作ったのかまでやることがもちろん理想ですが、企業の規模や事が起きたときの影響の大きさ、リスクを見ながらやれる範囲で仕組みを作っていきましょう

いきなり大手企業のように呪文のような文字を並べて、細かく特定する必要があるかどうか

検討して始めるのをおすすめします

細かくやればやるほど手間とお金がかかります

実際に食品事故が起きなければ品質トラブルでの追跡に必要な範囲に留めておくことも必要な判断でしょう

【8.4項 緊急事態及びインシデントの処理】

避難訓練時のルールってありましたよね!

こちらでは想定される緊急事態、非常事態に対して対処方法を事前に決めておくということです

地震が起きたら、避難場所はここ、避難経路は?連絡先は?

火事が起きたら、消火班はだれだれ、連絡班は?救助班は?

といったことを決めます

天災や停電、感染症や事故も含みますが、食品安全のISOなので、食品事故の際の対応を決めます

いわゆるクレーム対応マニュアルや商品回収マニュアルが含まれます

また、外部も含めて緊急時に調達を確実にすることを決めたりもします

その結果として安定供給するために資材や原料を2社購買、原料の汎用性を広げておくなどが行われます

これらの緊急事態の対応を決めたら訓練を行うことも要求されています

避難訓練はもちろん、商品の回収訓練を実施し、そのマニュアルの内容が本当に実施可能であるのかをチェックすることも求められています

引用例

8  運用

8.1 運用の計画及び管理

当社は、以下に示す事項の実施によって、安全な製品の実現に対する要求事項を満たすため、及び6.1項で決定した取り組みを実施するために必要なプロセスを計画、実施、管理、維持、更新をする

a) プロセス、工程に関する基準の設定

b) その基準に従った、プロセス、工程の管理

c) プロセス、工程が計画どおりに実施されたことを示すための確信をもつために必要な程度の、文書化した情報の保存、記録

当社は、計画された変更を管理し、意図しない変更によって生じた結果を振り返り(レビュー)、必要に応じて、あらゆる悪影響を軽減するようにする。また、外部委託したプロセスが管理されていることを確実にする。(参照:7.1.6)

8.2 前提条件プログラム(PRPs)

8.2.1当社は、製品、製品加工工程及び作業環境での汚染(食品安全ハザードを含む)の予防、汚染の低減をするために、PRPsを確立、実施、維持及び更新する

8.2.2 当社のPRP(s)は、以下の事項を確実にする

a)食品安全に関して、組織やその状況・環境に合致している

b)作業の規模及び種類、製造される製品の性質に適している

c)全体、もしくは特定の製品に適用されるものとして生産システム全体で実施する

d)食品安全チームによって承認され実施する

8.2.3 PRP(s)を選択、確立する場合、当社は、法令や規制に順守する

また相互に合意された顧客要求事項が特定されることを確実にする

次のことを考慮し実施する

a)ISO/TS22002シリーズの該当するパート(ISO/TS22002-1)

b)該当する規格、実施規範及び指針

8.2.4 PRP(s)を確立する場合、当社は、前提条件プログラム(一般衛生管理プログラム)として以下のGMPマニュアル事項について定める

a)建造物、建物の配置、及び付随したユーティリティ

b)ゾーニング、作業区域及び従業員施設を含む構内の配置

c)空気、水、エネルギー及びそのほかのユーティリティの供給

d)ベストコントロール、廃棄物及び汚水処理並びに支援サービス

e)装置の適切性や清掃・洗浄及び保守のためのアクセス可能性

f)供給者の承認、保証プロセス(原料、材料、化学薬品、包装)

g)搬入される材料の受け入れ、保管、発送、輸送及び製品の取り扱い

h)交差汚染の予防手段

i)清掃・洗浄及び消毒

j)人(従業員、外来者等)の衛生

k)製品情報/消費者の認識

l)必要に応じてその他

GMPマニュアルは、PRP(s)の選択、確立、適用できるモニタリング及び検証について規定する

関連文書:GMPマニュアル各種

8.3 トレーサビリティシステム

トレーサビリティシステムは、供給から納入される材料及び最終製品の流通経路を特定出来るようにする

トレーサビリティシステムの確立及び実施は次の事項を考慮する

1.最終製品に対する受入材料、原料及び中間製品のロットの関係;材料/製品の再加工;最終製品の流通

当社は、適用される法令、規制を遵守し、合意した顧客要求事項が特定されることを確実にする

トレーサビリティシステムの証拠としての文書化した情報は、少なくとも、最終製品のシェルフライフ(賞味期限)を含む定められた期間、保持する(賞味期限+1ヶ月以上)

トレーサビリティシステムの有効性を1回/年の頻度で検証、試験する(品質部門)

関連文書:回収訓練記録、クレーム対応マニュアル、商品回収マニュアル、現場日報

8.4 緊急事態及びインシデントの処理

8.4.1 一般

トップマネジメントは、食品安全に影響を与える可能性があり、フードチェーンにおける組織の役割に関連する潜在的な緊急事態及びインシデントに対応するための手順を確立する

これらの状況及びインシデントに対応する手順は、文書化し、処理時の記録を保持する

関連文書:インシデント管理票、緊急時対応マニュアル

8.4.2 緊急事態及びインシデントの処理

  当社は、「緊急時対応マニュアル」に準じて以下の処理を行う。

a)緊急事態及びインシデントは、以下により対応する。

 1)適用される法令・規制要求事項が特定されること

 2)内部コミュニケーション

 3)外部コミュニケーション(供給者、顧客、該当する機関、メディア)

b)緊急事態又はインシデント及び潜在的な食品安全への影響の度合いに応じて、緊急事態のもたらす影響を低減する処置をとる

c)手順を年1回試験する

d)何らかのインシデント、緊急事態又は試験の後は、文書化した情報をレビューし、必要に応じて手順書を更新する

関連文書:緊急事態訓練記録(避難訓練の記録、商品回収訓練の記録)

まとめ

今回は食品安全マネジメントシステム、ISO22000のDO!

8項運用の8.1~8.4のDOの中のPLANの部分について説明しました

8項では肝となるHACCPが入ってきます

HACCPを実施するために準備や計画をします

特に現場には密接に関連すること、現場の設備や作業手順を決めることが始まってきています

これらの要求事項をもとに手順を今一度見直すと、無理のない効果的なマニュアルになるかもしれません

ISOは国際標準で、無駄の少ないものです

改めて、基準にして取り組むことでみなさんにもプラスがあることでしょう

最初から完璧を目指さずにやりながら修正していくつもりでどんどん作っていくことをおすすめします

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