お疲れさまです
くおりです
今回はISO22000の「7項 支援」について話をしていきます
6項の計画で、組織の計画を立てました
組織はその計画を達成するために必要なものを支援しなくてはいけません
その定義を決めていくのが7項の支援となります
組織の支援するものとしては、資源:ヒト・モノ・カネ、力量:ヒトの能力・スキル、認識:計画を実施するための情報の伝達、コミュニケーション:情報共有できるようにすること(コト)、文書化した情報:保持する文書(記録・日報)、維持する文書(マニュアル)があります
組織がこれらを支援し、マネジメントシステムを有効に実施するための組織へのルールを定義しているのがこの、項になっています
ISOの構成
ISOシリーズ(ISO22000,9001,14001など)は1項~10項で構成されています
社内でISOのマニュアル(今回であれば食品安全マニュアル)を作ろうとしたときにはこの項番で作ることをおすすめします
今回の記事ではその項番でマニュアルを作る際に役立つように書いていきます
これらの記事を読み、コピペしてもいいのでWordで作り始めることから社内ルールのスタートです!
では、進めていきます
ISO全体の構成
ISOシリーズはHLSという上位構造から規格構成が共通化されています
ISO22000やISO9001,ISO14001でも同様ですが、それぞれFSMS、QMS、EMSとFS(食品安全)かQ(品質)かE(環境)を見ているのかで変わっています
運用の”8”では違いが大きいですが、他の項目についてはほぼ同様の構成となっています
とくに食品安全マネジメントシステム(FSMS)のISO22000の場合は8に”HACCP”を含むことが特徴です
今回は実際のPDCAの最初のP:PLANの最後の部分、7項 支援を説明していきます
ちなみに1~10とありますが、このサイトでは1”項”として説明していきます
人によっては1”章”など他の表現もありますが特に規定はされていないようです
7.支援
今回は7項 支援です
ISO22000、PDCAのPLAN(計画)で最後の項目です
「7項 支援」は以下の5つのサブカテゴリーで構成されています
7.1 資源
7.2 力量
7.3 認識
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化した情報
「7.1資源」では6項計画で定義し、立てた計画を実施するために必要な資源として人々、インフラストラクチャ、作業環境、外部で開発されたマネジメントシステムの要素、外部から提供されるプロセス、製品、サービスの管理を定義します
「7.2力量」では組織に食品安全マネジメントシステムに必要な力量を明確に定義すること、そしてその力量を得るための教育・訓練を実施することやその内容への有効性を評価することを定義します
「7.3認識」では5項リーダーシップで作った食品安全方針、6項計画を関連する人々へ伝える、それぞれの役割を理解させることを定義します
今回の記事はここまでを説明します
「7.4コミュニケーション」は殆どの会社での重要課題、内部の情報共有、外部の情報共有を定義します
この項目ではほとんどの会社が苦労し、日々進化しながらやっており、不適合も出やすい注意項目です
「7.5文書化した情報」ではこれまでよくあった紙での情報はもちろん、電子媒体も含むマニュアルや記録についての定義をします
ここでも不適合が出やすい状態があり、組織に取って適した定義を決めていくことが非常に重要です
7.4,7.5については次回の記事で記載します
それぞれについて、解説とともに引用例を示していきます
7.1 資源
7項の最初、7.1資源では、一般でその定義を決めて、7.1.2人々で人に関する事項、7.1.3でインフラに関する事項、7.1.4作業環境で働く環境に関する事項、7.1.5で外部で開発されたマネジメントシステムの要素(わかりにくいよね・・・)、7.1.6で外部サービスについて定義をしていきます
それぞれについて内容を説明していきます
7.1.1一般
ここでは資源を明確因子、組織が提供することを規定します
その際には内部資源の実現能力や制約と、外部資源の必要性を定義します
簡単に言い換えると、組織内の人員でできることや能力も見て実現可能なものを見定めます
そこで人手が足りない、能力や知識が足りないのであれば、外部のサービス:コンサルタントや情報窓口、の必要性を組織が決めることを定義します
7.1.2人々
組織にFSMSを運用・維持するための力量を必要な人々に確実にすること、教育をすることを定義します
ここでも外部の必要性を検討し、必要な際は合意の記録や内容を文書化することを要求しています
これは、情報の保持や裁判沙汰を避けることも理由としてあります
7.1.3インフラストラクチャ
人がいるだけではものは作れないので、ここで設備や建物、輸送設備やユーティリティ、ソフトウェアやハードウェア、通信機器なども含み、組織が提供することを定義します
7.1.4作業環境
ヒトやモノが整ったら、働くひとの”環境”についても定義します
環境は社会的要因(差別のない、平穏、非対立的)、心理的要因(ストレス軽減、心のケア)、物理的要因(暑い、寒い、衛生的、騒音)が該当します
これらは就業規則や人事の取り決めなどに入っているのが多いのではないでしょうか
マニュアルを作る際はこれらを参照として記載すると監査は楽にいけます
さらにここで総務部門などの間接部門も関与ができてきます
7.1.5外部で開発された食品安全マネジメントシステムの要素
ここではFSMSの中で作るものでHACCPプランや前提条件プログラムなどが対象として挙げられます
組織として定義が必要なものは、FSMSを守るために業界の法令があればそれを明確にしたり、業界のHACCPシステムを流用したり、コンサルティング会社の作成物を使うことを指します
これらの外部で作られたものを社内で使う場合には必要な組織や食品安全チームなどで承認されているか、文書化して保持することを要求しています
7.1.6外部から提供されるプロセス、製品又はサービスの管理
アウトソーシングや外部委託で製造を依頼すること、派遣や請負などについて定義します
これらは製品の取引と一緒のため評価することを定義します
サプライヤーのパフォーマンス評価がここで該当します
それぞれの企業を一覧化し、採点し、順位付けして、文書として残しておくことが必要となります
重要な外部提供者、アウトソーシング先や、原料の仕入先には社内で定期的に訪問しておくことも求められます
ちなみに、産廃業者については定期的に訪問し、廃棄物が適切に処理されているのか確認するという企業の義務もありますので、併せて定義してもいいかもしれません
引用例(7.1資源)
7 支援
7.1 資源
7.1.1 一般
組織はFSMSの維持、更新及び継続的な改善のために必要な資源を明確にし、提供する
また、組織はその際に次の事項を考慮する
a) 既存の内部資源の実現能力や制約(能力、人数、モノ、設備等)
b) 外部資源の必要性
7.1.2 人々
組織は、FSMSを効果的に運用・維持するために必要な人々に力量があることを確実にする
FSMSの構築、実施、運用又は評価に外部の専門家の協力が必要な場合は、外部の専門家の力量や責任、権限を定めた合意の記録や契約を文書として保持し、利用可能な状態にする
7.1.3 インフラストラクチャ
組織は、FSMSの要求事項に適合するためにインフラストラクチャを明確化し、維持するための資源を提供する
インフラストラクチャは以下のものが含まれる
・土地、輸送設備、建物、ユーティリティ
・ハードウェア、ソフトウェアを含む設備
・輸送、配送
・情報通信技術(PC機器、電話機器等)
7.1.4 作業環境
組織は、FSMSの要求事項に適合するために必要な作業環境を管理、維持するための資源を明確にし、提供、維持する
環境は社会的環境(差別・対立がなく平穏であること)、心理的要因(ストレス軽減、心のケア)、物理的要因(室温、気温、湿度、光、騒音、衛生状態)を指し、人的及び物理的要因とする
7.1.5 外部で開発された食品安全マネジメントシステムの要素
組織は、FSMSのPRPs、ハザード管理プランを含む外部で開発された要素の仕様を通じて、FSMSの維持、更新及び継続的な改善をする際に、次のことを確実にする
a) この規格(ISO22000)の要求事項に適合して開発されていること
b) 現場やプロセス及び製品に適合可能であること
c) 食品安全チームによって、組織のプロセス及び製品に適応させてあること
d) 規格で求められている通りに実施、維持、更新されていること
e) 文書化した情報として保持されていること
関連文書:食品安全マニュアル、ハザード管理プラン、設備投資計画など
7.2 力量
7.2では力量、人々の能力について定義していきます
組織にとって必要な力量を明確にします
そして、人々に組織が力量を十分にすることを定義し、組織に人々がが力量を得るための支援をすることを定義します
また、各部署にて力量を明確にすること、食品安全チームへの力量を明確にし、確実にすることを定義し、運用していきます
それぞれ文書化すると便利です
あるとわかりやすい、力量を明確にする文書(維持するための文書)と、
こちらはISOでも要求されている人々の力量を明確にした記録文書(保持するための文書)が必要になります
力量を明確にするのは、職務分掌や、組織図、力量要件書などが該当します
力量の記録としてはスキルマップ、力量評価表、人事評価シートなどが該当します
スキルマップでその部署、工程で必要なスキルを明確にし、定義づけしそこで評価をすればスキルマップ一つで文書としては足ります
ただ、多くの作業がある場合にはスキルマップが大きくなるため、状況によっては分けたほうがやりやすいかもしれません
スキルマップなど、力量を明確にする際に、作業のレベルはもちろん食品安全の項目を忘れないようにしてください
特にHACCPの知識やCCPでの対応能力の評価は必要ですのでお忘れなく
引用例(7.2力量)
7.2 力量
組織はFSMSに必要な力量を確立、維持、管理するために以下の事項を行う
a) 組織のFSMSの有効性に影響を与える業務を、その管理下で行う外部提供者を含めた、人や人々に必要な力量を明確にする
b) 適切な教育や訓練、及び経験に基づいて、食品安全チームのメンバー及びハザード管理プランの運用に責任を持つもの(工程リーダーや作業者)を含め、それらの人々が力量を備えていることを確実にする
c) 食品安全チームが、FSMSを構築し、実施する上で多くの分野にわたる知識や経験を併せ持つことを確実にする(食品安全チームのメンバーは教育、訓練を受けたもの、知識・経験をもったものを任命する)
d) それぞれ該当する場合には、必要な力量を身につけるための処置(教育の機会)を与え、その有効性を評価する
e) 力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する
関連文書:スキルマップ、教育訓練実施報告書、組織図、ハザード管理プラン
7.3 認識
7.3は認識です
これまでは組織のトップダウンの流れで要求事項が進んできました
ここでは組織として、組織の管理下で働く人”全て”にこれまでの計画や方針を認識することを求めている項です
そのため、監査の際に従業員へのヒアリングが行われ、この認識の部分の確認が必ずされます
もし、内部監査をする場合は、この認識についてはヒアリングで確認するようにしてください
認識しなくては行けない項目は以下の通りです
- 食品安全方針
- それぞれの従業員の職務に関するFSMSの目標(部署の食品安全に関する目標)
- FSMSの有効性に対する自分たちの貢献(仕事が食品安全にどう寄与しているか)
- FSMSに適合しないことの意味(ルールの逸脱が食品安全を担保できないことを理解できているか)
項目を見てイメージしてほしいのは組織が以下に従業員に組織の目標や、ルール・規則について説明してきたかを評価される項目となります
食品安全方針は多くの場合は掲示されているので問題ないでしょう
それぞれの仕事がどう、食品安全と関連付けているかは、最初の教育やOJTでの教育を通じて教えていなければなかなか出てこないかもしれません
部署の目標を建てる際にも、従業員へ説明して行くことで伝えられるでしょう
ここでネックになるのは管理下の”全て”の人々です
正社員だけではなく、派遣やアルバイト、パートや期間作業員も含みます
外国人実習生も含むため、認識を持つためには食品安全方針をその言語で作成したり、マニュアルをその国の言葉で作ったりする必要が出てきます
もし、それができない場合にはどのように認識してもらっているのかを仕組み化し、実践していることが求められます
多くの場合は通訳を通じて説明や、動画、写真などでの伝達になるかと思いますがポイントなので抑えておくようにしましょう
過去のISOでは外国語のマニュアルを求めておりました
ただ、現在での考え方は”認識”できていればいいので、通訳で説明し、理解させること
その理解の内容を確認する、教育の有効性の管理ができていれば問題ありません
たまにテストや、ヒアリングで教育することでもISOの評価には達することでしょう
これは次の項の内部コミュニケーションの結果としても評価されます
引用例(7.3認識)
7.3 認識
組織はその管理下で働く全ての人々が次の事項に認識を持つことを確実にする
a) 食品安全方針
b) それぞれの職務に関連するFSMSの目標
c) 食品安全パフォーマンスの向上によって得られる結果、FSMSに関連する自らの貢献内容
d) FSMSの要求事項、ルールに適合しないことの意味・重要性
まとめ
今回は食品安全マネジメントシステム、ISO22000の7項支援の前半1~3について説明しました
7項ではPDCAのPLANの中でも組織がFSMS、食品安全マネジメントを維持・更新するための資源の提供について定義しています
資源の中にはヒト・モノ・カネもありますが、環境や、コミュニケーションも含まれます
組織のそれらの提供がなければ運用ができないため、組織にとって必要なものは何かを明確にし、しっかりと定義することが、マネジメントを回すためには重要です
抽象的な表現から、具体的な内容までここで入れることが出来れば会社としてのルールも明確になり運用しやすい状態となるため、組織の上層部はもちろん現場の作業者としても認識が重要な項目です
ここでは工場だけではなく間接部門も文書の作成では必要となってきます
間接部門の業務の定義にもつながるところがありますので、横断的な取りまとめをし、実態に即したものを作るとうまくいくでしょう
最初から完璧を目指さずにやりながら修正していくつもりでどんどん作っていくことをおすすめします
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ぜひ、一緒に考え、学び成長していきましょう
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必ず返答させてもらいます
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