【社内マニュアル作成に役立つ!】ISO22000 6項「計画」

ISO22000,FSSC22000

お疲れさまです

くおりです

今回はISO22000の「6項 計画」について話をしていきます

計画では4項、5項を踏まえて、組織の状況を理解、方針を決定したのちに、その方針へ向かっていくべき道筋を立てていきます

ISOのPDCAのP:PLANのメインはこの6項になります

計画に対しては、立てることが目的ではなく、状況に合わせて方向性を修正することも要求されております

そのためにも5項での会社の方針を立てること、前提として4項の組織の状況を明確にする必要があります

そうしなければ、それぞれの計画は方向性がバラバラで、結果として組織の達成すべき目標へ到達できないことになってしまいます

ISOの構成

ISOシリーズ(ISO22000,9001,14001など)は1項~10項で構成されています

社内でISOのマニュアル(今回であれば食品安全マニュアル)を作ろうとしたときにはこの項番で作ることをおすすめします

今回の記事ではその項番でマニュアルを作る際に役立つように書いていきます

これらの記事を読み、コピペしてもいいのでWordで作り始めることから社内ルールのスタートです!

では、進めていきます

ISO全体の構成

ISOのPDCAのPLAN,計画へ入ります

ISOシリーズはHLSという上位構造から規格構成が共通化されています

ISO22000やISO9001,ISO14001でも同様ですが、それぞれFSMS、QMS、EMSとFS(食品安全)かQ(品質)かE(環境)を見ているのかで変わっています

運用の”8”では違いが大きいですが、他の項目についてはほぼ同様の構成となっています

とくに食品安全マネジメントシステム(FSMS)のISO22000の場合は8に”HACCP”を含むことが特徴です

今回は実際のPDCAの最初のP:PLAN、6項 計画を説明していきます

ちなみに1~10とありますが、このサイトでは1”項”として説明していきます

人によっては1”章”など他の表現もありますが特に規定はされていないようです

4項~10項のPDCAサイクルの全体像

6.計画

今回は6項 計画です

ISOのマネジメントシステム、PDCAのPLANそのものになりますね

ISO22000のP、Plan(計画)の部分にあたります

「6項 計画」は以下の3つのサブカテゴリーで構成されています

6.1 リスク及び機会への取り組み

6.2 食品安全マネジメントシステムの目標及びそれを達成するための計画策定

6.3 変更の計画

「6.1リスク及び機会への取り組み」では4項での組織の状況を踏まえて、リスクと機会(=チャンス)に対して、どう取り組んでいくのか、どのようにアプローチしていくのかを考えていきます

「6.2食品安全マネジメント・・・」にて6.1を踏まえたFSMSの目標を策定します

「6.3変更の計画」では計画を変更する際にはどのようにすすめるのかを決定します

これをすることで食品安全方針に沿ったFSMSの目標を設定でき、必要に応じて適切に変更もできる体制を作ります

それぞれについて、解説とともに引用例を示していきます

6.1 リスク及び機会への取り組み

隕石が降ってくる?リスク(左)とチャンスを掴めるかもしれない?機会(右)

6.1リスク及び機会への取り組みでは以下の4つの目的を達成するために実施する

  1. 利害関係者へ、”自社のFSMSへの取り組みが法令や顧客要求事項を満たした安全なものを提供する”ということに確信を持たせる
  2. リスクの定義にはいい意味も含むが、)将来に良い影響があるものはそれを強化する
  3. 逆に将来悪い影響があるものは、防止するか低減する
  4. マネジメントシステムの継続的な改善につなげる

この1~4の目的を達成するためにも、その組織の状況や法令、顧客要求事項を4項 組織の状況にて明確にしておくことが必要となる

6.1では取り組む際に実施の計画をすることを要求している

その計画には「活動の内容」はもちろん「責任者」「日程(期日)」を含むことを要求している

さらに大事なのはやる計画だけではなく、この計画が有効であるのかどうかを振り返ることも計画しなくてはいけません

もちろんのことではあるが、この計画にはFSMSプロセスを考慮して入れる必要がある

直接製品を作っている部署であれば、クレームの削減、不良率の低下、機械トラブル(チョコ停)の削減(=生産性向上)、従業員教育(教育回数、内容、力量の向上)、設備の更新・保全計画などが考えられる

間接部門であればそれぞれの部署によって異なるが、原料の安定調達、仕入れ基準を適正にする、物流の安定(温度、ルート整備)、サプライヤーの管理(訪問や、評価からの改善)、システムの導入、雇用の創出、従業員教育(必要な資格取得やその制度の策定)、開発プロセスの改善、顧客ニーズの把握、売上増大などが考えられる

これらの内容については7項での支援の結果から導かれる

特に7.4のコミュニケーションを通じて関連する法令や顧客要求事項はつかめます

自社の強みと弱み、置かれている状況、求められているものが明確になっていると、この計画の精度=方針へのコミットの割合は高くなります

上記のポイントを踏まえながら、引用を示します

補足:各組織でそれぞれの文書があれば参考資料として入れてください

引用例(6.1リスク及び機会への取り組み)

6 計画

6.1 リスク及び機会への取り組み

6.1.1 組織はFSMSの計画を策定する際に、「4項 組織の状況」を考慮し、以下の項目のために取り組む必要がある”リスク”及び”機会”を決定する

a) FSMSが意図した結果を達成すると確信を得られるものにする

b) 望ましい影響を増大するようにする

c) 望ましくない営業については防止、もしくは低減するようにする

d) これらの活動については継続的に改善をしていく

関連文書:部署別ISO対応表、職務分掌・・・

6.2 食品安全マネジメントシステムの目標及びそれを達成するための計画

6.1にて取り組みについて定義します

その6.1で定義したものを踏まえた目標を立てて、FSMSを達成するための計画を作っていくのが6.2項となります

工場目標は立てたら掲示して、従業員へ伝達するのが望ましい

6.2の目標と計画策定においてはその目標がFSMS、食品安全と結びついていなくてはいけません

目標はまだ抽象度が高いため、結びつきがわかりにくいこともあるかもしれません

管理者は監査の際には目標に食品安全・FSMSに関連する物があるのか確認されるので応えれるようにしておく必要があります

上記の目標からそれぞれの計画をイメージしてみましょう

ただし、計画を作っていく、目標を具体的な行動レベルに落とす際には食品安全に関係ないと思うものももちろん入れて構いません

そうしなければ本来の経営の方針との統合も難しいでしょう

あくまでも組織のマネジメントシステムの中に食品安全に関するマネジメントシステムも含めると考えて進めて問題ありません

1.人時生産性アップでの食品安全関連事項は?

生産性を上げるためにはいろいろなアプローチがあり、すべてが食品安全に直結するものではないかもしれません

ただ、生産性の具体的な計画の中では必ず関連するものがあるので、それを選び取りましょう

関連がありそうなモノとして、「チョコ停の削減、設備の入れ替え、予防保守、作業の標準化、マニュアル整備、QC活動」などが挙げられます

チョコ停や設備が安定して動くことでトラブルが減り、リスクは低減します

作業者のマニュアルが整備されれば、人によらない管理ができるかもしれません

QC活動では品質が向上するとともに、無駄が削減し、作業に余裕ができるかもしれません、その結果他の業務が出来て生産性が向上します

2.クレーム削減での食品安全関連事項は?

この目標に関しては食品安全に対して非常に関連が強いイメージもあるのではないでしょうか

クレームを減らすこと=品質を高めること≒食品安全のイメージで問題ありません

ただ、ここでさらにできる社員になるためにはクレーム=消費者の顧客要求事項ということです

そのため、計画で工程だけに収めずに、関連部署との打ち合わせや、顧客のニーズを把握する目標をいれると、一段高い工場目標になります

実際の行動レベルで行けば、「他社の商品回収から自社でのシミュレーションを行う」や、「過去のクレーム発生事例を再度部署内で共有し、危険予知トレーニングをする」などがあると頼もしく感じます

3.教育強化での食品安全関連事項は?

ここではまさに食品安全に関する「HACCPの教育」はもちろんですが、関連する「食品表示に関する試験で合格を出す」、や「勉強会の実施」、「食品安全検定」など、外部の試験を持ち出して社内教育の推進をするのもいいかもしれません

工場ではこういったことが目標になりますが、総務や人事の部署であれば、こういった資格を支援するための仕組み、制度づくりも食品安全に関する目標、計画にもなりえますので参考にして下さい

あとは多能工化や現場作業者を教育し、作業者からリーダー、管理者へ育てるというのもいい目標です

その際に2名の目標を立てて、4名ほどにその打診をし、力量を満たすように働きかけることは、人を育てるのにも非常に有効な方法だと言えます

最近のコーチングとも共通で目標を立てて、そこに向けて働きかけるやり方が組織にとっても、個人にとってもプラスになることでしょう

計画と目標を作る際に抑えておくべきこと

抑えておくべきポイントとして、以下の項目を踏まえて目標を立てるようにしてください

①5項で定めた「食品安全方針」と整合していること

これがなければ方針の意味がありませんよね

②測定可能であること

計画を立てて、定量的なもの、もしくは定性的なもので、状態が確認できるようにしなくてはいけません

③法令や規制、顧客要求事項を考慮しているもの

どんなに良い計画でも、法令やその他の関係事項を無視して、独自にやってもいけません、そもそも食品安全方針にも整合性がないことにもなりかねません

④計画の状況を検証すること、必要に応じて更新する

計画については立てることが目的ではなく、その目標に向かって進んでいくことが大事です

そのためには計画通りなのか、そもそも計画に問題がないのか検証する機会を作ることが必要です

このチェックを踏まえて、改善があれば改善する

新しく作る際に維持する必要があれば維持することが必要です

⑤伝達する

従業員への伝達や、上司やトップへの伝達も必要です

内部コミュニケーションを通じて計画を共有することが、達成するためにも重要な要素となります

⑥計画には「実施事項、必要な資源、責任者、完了時期、結果の評価方法」を明確にする

方針→目標→計画と段々と具体的にした際に、計画では実施事項を定めます

その実施事項には必要な資源(人数、時間、お金、モノ)を明確にします

その実施事項の責任者を定めて、期日を決めます

測定やモニタリングするための結果の評価方法(○%や○件、○○という状態)を定めて、客観的証拠に基づき評価できるようにします

それでは6.2項の引用例を示します

引用例(6.2 食品安全マネジメントシステムの目標及びそれを達成するための計画策定)

6.2 食品安全マネジメントシステムの目標及びそれを達成するための計画策定

6.2.1 組織は関連する機能及び階層(部門や部署、委員会)において、FSMSの目標を確立する

FSMSの目標には以下の項目を含む

a) 食品安全方針に整合している

b) 測定可能なものである

c) 法令・規制要求事項及び合意した顧客要求事項を考慮している

d) モニタリングして、検証できる

e) 必要な関係者へ伝達している

f) 必要に応じて、維持し、更新している

計画は文書化し、維持及び、経過を保持しなくてはならない

関連文書:年次計画書、部署別目標、売上目標、個人目標管理評価シート・・・

6.3 変更の計画

6.1,6.2にて計画を立てることを定義してきました

計画については環境の変化に合わせて変更しなくては行けないことがあります

多くの企業であれば、期の変わり目には変更があることでしょう

6.3変更の計画ではその変更する際の手順を定義しています

間違っても思いつきや場当たり的に変更することが無いように制御するのがこのパートです

変更を計画的に行う

「変更の計画」は表現としてわかりにくいですよね

このパートは計画的に変更を行うことを定義しています、言い換えれば「変更は計画的に行う」

変更する際に考慮しなければいけないことがあります

  • 変更の目的とその変更のよって起こり得る結果
  • FSMSが継続されている状態にあること
  • 変更を効果的に行うために資源が利用可能な状態にあること
  • 責任及び権限の割当や、再度の割り振り

上記の項目を考慮しなければ変更を計画的に行っているとは言えません

変更する際はその意図があります、得られる結果も想定します

変更して、本来のFSMSが保てなくっては本末転倒ですね

変更する際に人やモノ、カネなどの資源は十分になければ効果は期待できないでしょう

変更した場合には責任者が変わったり、権限の移譲などもあるので、定義することが必要です

最も大切なことは変更は伝達されなければなりません

組織の一部のみで周囲の知らないところで変更されても全体のFSMSの中で影響は薄いでしょう

その程度の変更であれば、そもそも必要ないかもしれません

元の計画に対して変更するのであれば、組織の中で伝達され、より効果的な結果を得るようにすることが基本です

では、引用の例を示します

引用例(6.3変更の計画)

6.3 変更の計画

組織は人の変更を含めて、FSMSの変更の必要性が発生した場合、計画的な方法で行い、組織へ伝達しなくてはいけない

変更する際は下記の事項を考慮する

a) 変更の目的とその変更の結果起こること

b) FSMSが継続して働いていること

c) 変更を効果的に実施するために資源が十分に供給されること

d) 責任及び権限の割当や再度の割り振りをすること

まとめ

今回は食品安全マネジメントシステム、ISO22000の実際の内容の最初、6項について説明しました

6項ではPDCAのPLAN,計画を定義しています

食品安全マネジメントシステムの最初の一歩で、ここを丁寧に行わなければDOの結果も思わしくありません

計画する段階で成功するか、失敗するのか決まると言っても過言では無いと思っています

計画する際には測定可能で、期日が明確、責任者が明確で、進捗が追えることが求められています

この計画の定義についてはISOに限った話ではなく、通常の他の仕事においても共通です

ISOの考え方は世界共通で認められていることから基本とも言えますので、食品安全に限らずこれらの項目は活かしていってもらいたいですね

ISOをやる企業であれば、計画をたてる際は必ず文書化してください

また、その中に項目はもちろん、必要な資源や責任者、期日は忘れずに!!

この辺が入っていないと監査の際には不適合となりますので注意が必要です

最初から完璧を目指さずにやりながら修正していくつもりでどんどん作っていくことをおすすめします

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