【社内マニュアル作成に役立つ!】ISO22000 7項「支援」4~5

ISO7.4-7.5 ISO22000,FSSC22000

お疲れさまです

くおりです

今回はISO22000の「7項 支援」について話をしていきます

特に監査の際に不適合になりやすいコミュニケーションについて話をしていきます

6項の計画で、組織の計画を立てました

組織はその計画を達成するために必要なものを支援しなくてはいけません

その定義を決めていくのが7項の支援となります

組織の支援するものとしては、資源:ヒト・モノ・カネ、力量:ヒトの能力・スキル、認識:計画を実施するための情報の伝達、コミュニケーション:情報共有できるようにすること(コト)、文書化した情報:保持する文書(記録・日報)、維持する文書(マニュアル)があります

組織がこれらを支援し、マネジメントシステムを有効に実施するための組織へのルールを定義しているのがこの、項になっています

ISOの構成

ISOシリーズ(ISO22000,9001,14001など)は1項~10項で構成されています

社内でISOのマニュアル(今回であれば食品安全マニュアル)を作ろうとしたときにはこの項番で作ることをおすすめします

今回の記事ではその項番でマニュアルを作る際に役立つように書いていきます

これらの記事を読み、コピペしてもいいのでWordで作り始めることから社内ルールのスタートです!

では、進めていきます

ISO全体の構成

PLANの締めくくり、計画を実施するための組織のバックアップ「支援」の項目です

ISOシリーズはHLSという上位構造から規格構成が共通化されています

ISO22000やISO9001,ISO14001でも同様ですが、それぞれFSMS、QMS、EMSとFS(食品安全)かQ(品質)かE(環境)を見ているのかで変わっています

運用の”8”では違いが大きいですが、他の項目についてはほぼ同様の構成となっています

とくに食品安全マネジメントシステム(FSMS)のISO22000の場合は8に”HACCP”を含むことが特徴です

今回は実際のPDCAの最初のP:PLANの最後の部分、7項 支援を説明していきます

前回で1~3を説明しました

7.1項~7.3項はこちら

今回は4,5のコミュニケーションと、文書化した情報について記載します

と~~っても大事なポイントなので確認してください!

ちなみに1~10とありますが、このサイトでは1”項”として説明していきます

人によっては1”章”など他の表現もありますが特に規定はされていないようです

4項~10項のPDCAサイクルの全体像

7.支援

改めて今回も7項 支援です

ISO22000、PDCAのPLAN(計画)で最後の項目です

「7項 支援」は以下の5つのサブカテゴリーで構成されています

7.1 資源

7.2 力量

7.3 認識

7.4 コミュニケーション

7.5 文書化した情報

「7.1資源」では6項計画で定義し、立てた計画を実施するために必要な資源として人々、インフラストラクチャ、作業環境、外部で開発されたマネジメントシステムの要素、外部から提供されるプロセス、製品、サービスの管理を定義します

「7.2力量」では組織に食品安全マネジメントシステムに必要な力量を明確に定義すること、そしてその力量を得るための教育・訓練を実施することやその内容への有効性を評価することを定義します

「7.3認識」では5項リーダーシップで作った食品安全方針6項計画を関連する人々へ伝える、それぞれの役割を理解させることを定義します

前回の記事はここまでを説明しました

「7.4コミュニケーション」は殆どの会社での重要課題、内部の情報共有、外部の情報共有を定義します

この項目ではほとんどの会社が苦労し、日々進化しながらやっており、不適合も出やすい注意項目です

「7.5文書化した情報」ではこれまでよくあった紙での情報はもちろん、電子媒体も含むマニュアルや記録についての定義をします

ここでも不適合が出やすい状態があり、組織に取って適した定義を決めていくことが非常に重要です

それぞれについて、解説とともに引用例を示していきます

7.4 コミュニケーション

左は不適合の状態 右は適合の状態

7.5項のコミュニケーションでは組織にとって重要な「ほう・れん・そう」がメインとなります

その報連相のやり方や手段を定義して、計画し、実施、その結果を回していくことがコミュニケーションとなります

多くの企業の抱える問題はこの人間関係にあり、多くの企業で取り組んでいいる課題も人間関係・コミュニケーションにあります

アドラー心理学では「すべての悩みは人間関係からくる」とありましたが、まさにISOにおいても組織通し、人間通しの関係を定義しているわけです

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ISOでのコミュニケーションでは内部と外部と分けて考えます

項目としては「一般」「外部」「内部」に分けられます

7.4.1一般

ここではコミュニケーションを定義するとき、(内部も外部も含めて)必要な項目を決めます

コミュニケーションの内容と実施時期、対象者、方法、行う人を定義します

イメージとしては下記の表のようなものが対象となります

想定されるものを抜粋

ISOでは内部と外部と分けて書いてありますが、まとめる際には一緒にまとめても問題ありません

また、方法ではマーケティングなどではSNSでの定期配信を定義づけたり、HPの更新を入れていくのもいいでしょう

7.4.2外部コミュニケーション

外部コミュニケーションで重要なことは証拠として残すことです

外部は様々いますが、そのやり取りや結果は文書化して残すことが必要です

外部提供者や契約者であれば契約書が該当します

法律であればその法律自体が文書化した情報です

顧客や消費者とのやり取りも「言った・言わない」とならないように記録が必要です

昔のISOでは何でも記録に残す、紙で残す、まとめるということがありました

ただ、今のISOでは紙に残す必要はまったくありません

大事なのは組織として振り返りができるかどうか!

データの中に残してもいいですし、システムで残してもいいです

大事なのは「取り出しやすいか」「必要なときに確認できるか」です

そう考えると昔ながらの紙よりもデータでラベリングして残したほうが取り出しやすく、おすすめです

そういうと、何でもかんでもデータ化する人もいますが、”取り出しやすい”状態にはするように!

ちなみに消費者へのコミュニケーションとして商品の表示・パッケージも入ります

顧客へは規格書も入ってきます

改めて考えると様々なコミュニケーションの記録が確認できるでしょう

くれぐれも口約束だけで組織の判断がされている状態だけはないように!

「昔ながらの信用で、口約束」はISOでは証拠となりませんので注意です

7.4.3内部コミュニケーション

FSMSに必要な情報は内部でコミュニケーションしなくてはいけません

特にFSMSの有効に関わることは食品安全チームに伝達することを確実にすることを求めています

伝達は”タイムリーに”する必要があります

くれぐれも事後報告というのはISOでは不適合や観察事項となりますのでないように!

こういった情報伝達の遅れを防ぐために社内で会議の日程を決めておいて話をしたりします

年間の計画を持って日頃の業務を行う、管理することで内部コミュニケーションの大枠は満たせるでしょう

あとは、随時変わる情報を伝えるために、社内のチャットツールや情報共有システムを使うことをおすすめします

ちなみに内部コミュニケーションでは組織の文化を表してもいいです

例えば「社内では下の名前にさんをつけて呼ぶ」とか、「役職名では呼ばない」などのも内部コミュニケーションでは定義してもいいでしょう

それぞれの会社の理念や考え方を内部コミュニケーションとして伝え、環境を良くしていくことは非常に重要な組織の役割となります

と、いいましたが、実際にはすでに実施している会議や打ち合わせ、やり取りの中で食品安全絡むものがあるはずなので、それを抽出すればOKです

もし、不足があると組織が感じればそのための項目を会議の議題に追加することで要求事項は満たされるでしょう

引用例 7.4コミュニケーション

7.4 コミュニケーション

7.4.1 一般

組織はFSMSに関連する内部、外部のコミュニケーションに以下の事項を含む

その結果として食品安全に影響を与える活動を行うすべての人が効果的なコミュニケーションを行い、要求事項を理解できるようにする

a) コミュニケーションの内容

b) コミュニケーションの実施時期

c)コミュニケーションの対象者

d)コミュニケーションの方法

e)コミュニケーションを行う人

7.4.2 外部コミュニケーション

組織は、十分な情報を外部へ伝達し、フードチェーン内の利害関係者が利用できるようにする

組織は、次のものと有効なコミュニケーションを確立し、維持する

a) 外部提供者、契約者

b) 次の事項に関連する顧客や消費者

1)フードチェーン内での顧客、消費者による製品の取り扱い、陳列、保管、調理、流通やその使用をかのうにする、食品安全に関する製品の情報(製品の喫食方法、保管温度など)

2)フードチェーン内の他の組織や消費者による管理が必要な特定された食品安全に関する製品情報(アレルゲンなど)

3)修正を含む、契約した取り決めや引き合い、発注(食品安全上必要なこと)

4)苦情やクレーム、顧客や消費者へのフィードバック

c) 法令規制当局

d) FSMSの有効性や更新に影響する、またはそれによって影響されるその他の組織

食品安全に関するあらゆる情報を外部に伝達するために、明確な責任や権限をもったものを指名する

外部とのコミュニケーションで得られた情報はマネジメントレビューやFSMSの更新へのインプットとして含める

外部コミュニケーションは証拠として、文書化した情報として保持しなければならない

関連文書:営業会議議事録、調達計画会議、メール、名刺管理システム、ビジネスチャット、クレーム日報

7.1.3 内部コミュニケーション

組織は、食品安全に関する問題を伝達するために効果的なシステムを構築し、実施・維持する

FSMSの有効性を維持するために、次における変更があればそれを”タイムリー”に食品安全チームに知らせる

食品安全チームはFSMSを更新する場合にこの情報が含まれるようにする

トップマネジメントは関連情報をマネジメントレビューのインプットとして含めるようにする

a) 製品、新商品

b) 原料、材料、サービス

c) 生産システム及び装置

d) 生産施設、装置の配置、周囲環境

e) 清掃・洗浄及び殺菌・消毒のプログラム

f) 包装、保管及び流通システム

g) 力量、責任・権限の割当て

h) 適用される法令・規制要求事項

i) 食品安全ハザード、管理手段に関する知識

j) 組織が順守する顧客や業界などの要求事項

k) 外部の利害関係者からの関連する引き合いやコミュニケーション

l) 最終製品に関連した食品安全ハザードを示す苦情や警告

m) 食品安全に影響するその他の条件

関連文書:就業規則(コミュニケーションに関する規定、ハラスメント規定)、データ管理規定、マネジメントレビュー、品質会議議事録

7.5 文書化した情報

紙の文書からデータ化が進んでます、データの喪失には注意が必要です

こちらでは文書、記録を残すことを要求しています

記録に関しては紙で残す必要はありません

現在であれば、ワードやエクセルなど、PDFや画像、動画も文書に含まれます

その組織における文書の概念をここでまとめて、周知する事が大事です

そうすることで何でも紙で残したり、すべてのデータをとりあえず残しておくことも減るでしょう

大事なのは”利用可能な状態”で文書化されることです

すべての文書にナンバリングをしなくてもいいのです

昔のISOはすべての文書にナンバリングをして管理していましたが、これから始める組織は非常にやりにくいです

重要なもの(食品安全に関するもの)だけでも名前はピックアップして、食品安全ハザードの管理手段へ記載が必要ですが、殆どのものは名称で管理で問題ないでしょう

あとは最新版の管理が必要なので、文書の更新日、作成者(作成部門)は記載しておきましょう

7.5.1一般

ここでは上記の定義を決めていきます

文書を作成する際には次の2つの分類は意識するといいでしょう

この2つの文書の違いが認識・理解できていないと、組織によりあった文書が作成や管理できなくなります

こちらの生地も参考にしてください

維持する文書(maintain)

これは組織が活動を維持するためのもの=”マニュアル、標準書、就業規則”が該当します

従業員の行動を規定しているものがあり、基準を決めているものです

こういった決まり、ルールを作って、そのとおりに行われているのかを管理する、管理するための文書が維持する文書となります

組織の状況や、PDCAのA、処置・改善の際にはこちらの維持する文書は積極的に変更することが求められます

一度作ったマニュアルをきちんと更新する=変更するという行為になるため、こちらの文書は必要に応じて積極的に改定していきましょう

保持する文書(retain)

こちらは”記録”です

生産の日報や日々のやり取り・コミュニケーションの記録、会議の議事録が該当します

こちらの文書についてはそのときに作成し、その後の変更はいけません

意図的にやることは改ざんとみなされるかもしれませんので、必要時は組織のルールに則って変更が必要です

例えば二重線で消して担当者がわかるようにして変更するなど

7.5.2作成及び更新

こちらでは文書を作成する際に必要なものを定義します

要求事項では識別できること、形式、その文書の適切性や妥当性を要求しています

ルールを作ったらその文書を作り、いつ作ったのか、ワードで作ったのか、その文書はどこに保存されているのか、ルールの内容は現実にあったものになっているのかを要求しています

これはISOのためのルールを作った場合には乖離が発生するため、随時、見直し、より現実的な組織にあったルールを作ることを定義していると認識しましょう

7.5.3文書化した情報の管理

ここでは文書を必要なときに利用可能な状態にすること

十分に管理され保護されていることを最初に求めます

また、そのために文書の配布やアクセスの方法、保存や保管、変更時の管理、保持や廃棄のルールを作成することを求めています

主に文書管理規程のようなものを作成するとこの要求事項は満たせるでしょう

組織の中でフォントの統一や、文書の作成の仕方、文書のタイトルの付け方を統一すると取り出しやすさはかなり向上するでしょう

その一方、昔ながらのそれぞれの自己流でやっている人や変化に柔軟に対応できない人の反発はありますが、このタイトルの付け方など基本的なものを徹底して統一することは組織としては非常に大きな無駄の削減に繋がります

引用例(7.5文書化した情報)

7.5 文書化した情報

7.5.1 一般

組織はFSMSに次の事項を含む

a) ISO22000が要求する文書化した情報

b) FSMSの有効性のために必要な組織の文書化した情報

c) 法令、規制当局、顧客要求事項に関連する文書化した情報、食品安全要求事項

関連文書:文書管理規程

7.5.2 作成及び更新

文書化した情報を作成、更新する際には次の事項を確実にする

a) 適切な識別や記述(タイトルで管理、作成日付、作成者、参照番号を付与)

b) 適切な形式(言語は日本語、図表)、媒体(紙、電子媒体)

c) 適切性及び妥当性に関するレビューや承認

関連文書:文書管理規程、各種製造日報、作業標準書、ホームページ

7.5.3 文書化した情報の管理

7.5.3.1 FSMSで必要な文書化した情報は、次の事項を確実にするため管理された状態にする

a) 文書化した情報が、必要なときに、必要なところで、入手かつ利用できるようにする

b) 文書化した情報が保護されている(機密性、不適切な使用の防止、喪失の保護)

7.5.3.2 文書化した情報の管理にあたっては、次の行動に取り組む

a) 配布、アクセス、検索や利用

b) 読みやすさが保たれること、保管や保存

c) 変更時の管理(版の管理や更新日)

d) 保持、及び廃棄

文書化した情報は必要に応じて識別し、管理する

証拠として保持するための文書は意図しない改変、改ざんから保護しなくてはならない

関連文書:文書管理規程

まとめ

今回は食品安全マネジメントシステム、ISO22000の7項支援の後半4、5について説明しました

7項ではPDCAのPLANの中でも組織がFSMS、食品安全マネジメントを維持・更新するための資源の提供について定義しています

資源の中にはヒト・モノ・カネもありますが、環境や、コミュニケーションも含まれます

組織の活動の中で文書を作ること、部署のつながりや外部の取引先とのコミュニケーションは必ず必要なことでしょう

ISOをやらない組織でも非常に参考になる内容がこの項には詰まっています

今一度自分の会社、組織の中でのルールがあるのかないのか、それが現実に適しているのか確認してみてはいかがでしょうか?

もし、ISOに取り組む際には見直して、新たに文書管理を規定したり、コミュニケーションを規定することで組織の無理、無駄、ムラを削減できることでしょう

最初から完璧を目指さずにやりながら修正していくつもりでどんどん作っていくことをおすすめします

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