【社内マニュアル作成に役立つ!】ISO22000 5項「リーダーシップ」

ISO22000,FSSC22000

お疲れさまです

くおりです

今回はISO22000の「5項 リーダーシップ」について話をしていきます

リーダーシップではその組織(会社や工場単位)のトップマネジメント(社長やCEO,工場長など)の役割について定義づけしていきます

ISOシリーズ(ISO22000,9001,14001など)は1項~10項で構成されています

社内でISOのマニュアル(今回であれば食品安全マニュアル)を作ろうとしたときにはこの項番で作ることをおすすめします

今回の記事ではその項番でマニュアルを作る際に役立つように書いていきます

これらの記事を読み、コピペしてもいいのでWordで作り始めることから社内ルールのスタートです!

では、進めていきます

ISO全体の構成

ISOの構造

ISOシリーズはHLSという上位構造から規格構成が共通化されています

ISO22000やISO9001,ISO14001でも同様ですが、それぞれFSMS、QMS、EMSとFS(食品安全)かQ(品質)かE(環境)を見ているのかで変わっています

運用の”8”では違いが大きいですが、他の項目についてはほぼ同様の構成となっています

とくに食品安全マネジメントシステム(FSMS)のISO22000の場合は8に”HACCP”を含むことが特徴です

今回は実際のPDCAが始まるよりも更に前の段階、5項を説明していきます

ちなみに1~10とありますが、このサイトでは1”項”として説明していきます

人によっては1”章”など他の表現もありますが特に規定はされていないようです

4項~10項のPDCAサイクルの全体像

5.リーダーシップ

今回の5項では組織のトップが行うべき役割について定義していきます

ISO22000のP、Plan(計画)の部分にあたります

ISOとして「トップマネジメントの積極的関与」というのが重要視されてきています

どんなに資源や運用がされていても、トップマネジメント=社長や工場長など、が、興味を持ったり参加してこなければうまくいかないというものです

よくある、担当部署に丸投げ!をISOは良しとはしていないということです!

丸投げの結果、ISOの形骸化や、ISOのためのISOになってしまっていることがあります

トップがコンサルを雇ってあとはよろしく~っていうもの形骸化しやすい例です!

5項 リーダーシップ3つのサブカテゴリーで構成されています

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

5.2 方針 

5.3 組織の役割、責任及び権限

それぞれについて、解説とともに引用例を示していきます

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

トップマネジメントの最も大きな仕事は会社の方向性を示すことです

5.1ではトップマネジメントに対しての要求事項です

ISOではトップマネジメントが積極的に関わって、指示を与えていることを示す根拠を求めています

そのため、5.1ではそれらのトップマネジメントの仕事を明確にすることが必要です

具体的には、以下のことが挙げられます

  • 方針を立てることによって方向性を決めること(ベクトルを明確にする)
  • そのための資源を提供すること(ヒト、モノ、カネの提供)
  • 組織の経営の方向性と食品安全の方向性を一致させること(経営の永続性)
  • 組織の評価をし、その結果から指示を出すこと(インプットとアウトプット)
  • これらの活動、FSMSを従業員に伝達すること
  • 部署の決定や役割、責任権限を決めること

上記のポイントを踏まえながら、引用を示します

補足:各組織でそれぞれの文書があれば参考資料として入れてください

引用例(5.1リーダーシップ及びコミットメント)

5 リーダーシップ

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

トップマネジメント(=代表取締役社長など)は、次に示すa~hの事項によって、食品安全マネジメントシステム(以下FSMS)に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証する

a) FSMSの食品安全方針や目標を確立し、組織の方向性を示す

b) 組織の事業プロセスへのFSMSの統合をする

c) 必要な資源を提供し、利用可能にする

d) 食品安全マネジメントの重要性を伝達し、その要求事項、適用される法令・規制要求事項、顧客要求事項に適合する

e) FSMSがその意図した結果を得られるように評価し、維持されるようにする

f) FSMSを有効にするために人々を指揮し、支援する

g) 改善を継続的に実施する

h) 関連する管理層がその責任において、リーダーシップを実証するように、管理層の役割を支援する

関連文書:組織図、職務分掌、経営計画発表会、食品安全マニュアル、ホームページ、組織体系図・・・

5.2 方針

5.2の方針では更に2つのサブカテゴリーにわけられております

「食品安全方針の確立」と「食品安全方針の伝達」です

5.2ではトップマネジメントが組織の中で、4項で明確にした課題を踏まえ、また、将来への機会を考慮し、方針を確立します

確立した方針を従業員はもちろん、密接に関係する利害関係者にも伝達し、組織の価値観を共有することを求めています

ホームページで公開すると取引先はもちろん、新卒採用、中途採用でも応募者に明確にできます

5.2でのトップマネジメントの仕事は方向性を示し、それを従業員へ伝えることですね

食品安全マニュアルでは、このことをより具体的に書いてあるといいでしょう

必ずしも食品安全方針を新しく掲げる必要はない!?

方針を立てるというと、新たに掲げるイメージがありますが、必ずしもそうではありません

もともとの経営方針に食品安全に含まれる事項があれば新しく掲げる必要はありません

むしろ、品質や環境など現在の社会状況に合わせて会社方針を多方面で作った場合はすでに加味されているかもしれません

ISOでの方針は一般的な大企業や、関係者へ配慮できる企業であれば当たり前に掲げている内容がほとんどです

もし、組織が他のISOにも取り組むのであれば、それぞれに方針を立てるよりも、一つの方針に盛り込むのが合理的で、従業員への理解もしやすくなりますのでおすすめです

引用例(5.2方針と2つのサブカテゴリー)

5.2 方針

5.2.1 食品安全方針の確立

トップマネジメントは、食品安全方針を確立し、実施し、維持する

食品安全方針には以下の項目を含む

a) 組織の目的、状況に適している

b) FSMSの目標の設定をし、その結果をレビューできるようにする

c) 食品安全に関連する法令・規制要求事項及び合意した顧客要求事項を満たすことに合意する

d) 内部・外部のコミュニケーションに取り組むこと

e) FSMSを継続的に改善していくことにコミットしていること

f) 食品安全に取り組むための力量を確保する必要性に取り組むこと

食品安全方針は食品安全マニュアル、各部署掲示物、ホームページ、経営計画書へ示す

5.2.2 食品安全方針の伝達

食品安全方針は次に示す事項を満たす

a) 文書化した情報として利用可能な状態にされ、維持する

b) 組織内のすべての階層に伝達され、理解され、適用する

c) 密接に関連する利害関係者が入手可能な状態にする

食品安全方針

【経営理念】

従業員とお客様の幸せのために、

海の幸を利用した美味く安心な食品を提供し、社会へ貢献する

【食品安全方針】

1.食品安全に、全従業員が取り組む

2.全従業員は組織の人財であり、教育・訓練を受講し、一人ひとりの力量を確実にする

3.食品安全方針を実行するため、目標を設定し、その達成のための活動を行い、検証を行う

4.内部・外部のコミュニケーションを確実に実行し、関係法令、顧客要求事項や関連する情報を速やかに共有し、遵守する

5.「食品安全方針」および規則、管理体制の評価、見直しを定期的に行うことで、食品安全マネジメントシステムの継続的な改善を図り、常に向上をはかる

※上記のように要求事項(社内でのルール)と食品安全方針をセットでマニュアルに記載するとわかりやすい

5.3 組織の役割、責任及び権限

5.3ではトップマネジメントがFSMSに有効な組織づくりをすることを求めている

5.3ではサブカテゴリーが3つにわかれており、それぞれについて説明する

5.3.1 トップマネジメントは関連する役割に対して責任、権限を割り当て組織内へ伝達し、理解されるようにする

組織づくりの中には部署や部署の役割、管理層の役割、それぞれの責任と権限を規定することを求めている

これは会社の組織図を作ることと同じ作業となる

ただ、食品安全に関しての最終的な責任部署であったり、事務局、責任権限は品質部門や法務部門が担うことが多い

会社によっても工場の責任者が工場内の品質や安全を担保し、その保証を品質部門が行うところもある

これらの役割と責任、権限を明確にし、組織がFSMSに効果的に働くようにするのがトップマネジメントの仕事である

トップマネジメントの5.3項でのもう一つの大きな仕事は食品安全チームリーダーを決定することである

トップマネジメントがすべての判断をするより、組織の食品安全チームのリーダーを指名して、食品安全チームを作り、組織としての管理をすることを要求している

組織づくりでの参考にしてください

5.3.2 食品安全チームリーダは次の点に責任を持たなければならない

次にトップマネジメントから指名を受けた食品安全チームリーダーの役割、責任について規定をしているのが5.3.2になる

前提としてISOを理解する力量を持たなければいけないし、組織をまとめる力も食品安全チームリーダーには求められている

不足が見られる場合は、トップマネジメントととしては力量を十分にするために教育訓練をさせる必要がある

5.3.3 すべての人々はFSMSに関する問題を報告する責任を持たなければならない

トップマネジメント・食品安全チームリーダーの責任、役割を規定したあとは他の人々にも要求している

それは報告をすることが責任というものである

報告するのは予め決められた人、通常であれば上司や同僚であるが、決め事があれば、それを飛び越えて報告しても問題はないとも言える

FSMSに問題があると感じたら、報告する責任を従業員にも求めていることもISOの優れている点である

この要求事項があるため、ISOは上層部のもの、ではなく、すべての従業員、トップマネジメントも含めた全員参加が必要なものと明確に言える

引用例(5.3組織の役割、責任及び権限)

5.3 組織の役割、責任及び権限

5.3.1 トップマネジメントは関連する役割に対して責任、権限を割り当て組織内へ伝達し、理解されるようにする

責任・権限の割当は以下の項目を含まなければならない

a) FSMSがISO22000の要求事項に適合する

b) FSMSのパフォーマンスの結果がトップマネジメントへ報告される

c) 食品安全チーム及び、食品安全チームリーダーを任命する

d) 処置を開始し、文書化する明確な責任者、権限をもつ人を任命する

5.3.2 食品安全チームリーダは次の点に責任を持たなければならない

a) FSMSが確立され、実施され、維持され、更新されるようにする

b) 食品安全チームを管理する

c) 食品安全チームに対する訓練・力量を確実にする

d) FSMSの有効性及び適切性をトップマネジメントへ報告する

5.3.3 すべての人々はFSMSに関する問題を報告する責任を持たなければならない

まとめ

今回は食品安全マネジメントシステム、ISO22000の実際の内容の最初、5項について説明しました

5項ではトップマネジメントの仕事を定義しています

食品安全マニュアルの中に規定はしますが、「方針」以外の文書化の要求事項はありません

ただし、ほとんどの会社が当たり前に持っている組織図や職務分掌などの組織の定義やその役割を求めるものでした

ここで重要なポイントは食品安全のみを分離して対応するのではなく、すでにある経営のなかに食品安全を統合することにあります

昔のISOはISOのための仕事が出来たりして、結果として効果が薄れておりました

その反省を生かして、今のISOは組織の運用、実態に近いものになっております

その中でも「経営者の積極的関与」を重視し、食品安全を経営と統合することに重きを置いているのが5項の内容となっております

まずはマニュアルではそれらの要求事項をそのまま、記載し、組織の中での文書に照らし合わせて参考資料を添付したり、認識で一部変更したりすることから始めましょう

最初から完璧を目指さずにやりながら修正していくつもりでどんどん作っていくことをおすすめします

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