勘違いされがち【食品衛生責任者、食品衛生管理者、衛生管理者】の違い

体験談

お疲れさまです

くおりです

私が食品企業へ勤めている時に食品衛生責任者と衛生管理者(このときは第一種衛生管理者)をごちゃごちゃに会社の上層部で話をしておりました

会社の経営者や人事も認識できていないこともあるこれらの似た言葉の資格に説明していきます

結論として、食品衛生管理者は特定の食品加工や添加物製造で必要な国家資格

食品衛生責任者は自治体で食品事業所に一人必要な役割

衛生責任者は労働安全衛生法で義務付けられて一定規模以上の事業所で選任が必要な資格

と、なります

詳しく話ししていきます

法令の話になります取っつきにくい人は赤ライン付きの文章を追って下さい

なお、法令の○○条は数字(51など)で示しておりますが、検索して元のデータを探すときは漢数字(五十一など)と変換して探してください(e-GOV法令検索が元の情報となります)

食品衛生管理者とは?

衛生管理業務を行います

食品衛生法第48条に規定される資格です

こちらは乳製品や添加物、その他製造または加工を行うところは専任の食品衛生管理者を置く必要があるというものです

条例の中身は以下となります

  • 乳製品を製造する事業者、添加物や食品でも使用基準、規格のあるものを製造する事業者はその施設ごとに専任の食品衛生管理者を置かなくてはならない。ただし、営業者が自ら食品衛生管理者となって管理する施設は専任で置かなくて良い
  • 営業者が製造、加工を2つ以上の施設で行う場合で隣接しているときは一人で2つ以上の施設を見ることができる
  • 食品衛生管理者はその管理に関わる食品、添加物に関する法令を守るように監督しなくてはならない
  • 食品衛生管理者は法令違反を防止するために必要な注意をし、必要な意見を営業者に対して述べなければならない
  • 営業者は食品衛生管理者の意見を尊重しなくてはならない
  • 食品衛生管理者は以下のものでなければなれない(資格取得方法で説明)
  • 食品衛生管理者の資格を講習会で得た者は、衛生管理業務に三年以上従事した製造業、加工業の施設において”のみ”、食品衛生管理者となることができる
  • 食品衛生管理者は15日以内にその施設の保健所に届け出をしなくてはいけない、変更のときも同様である

まとめると、乳製品(全粉乳:容量が1,400g以下の缶、加糖粉乳、調製粉乳)、魚肉ハム・ソーセージ、放射線照射食品、食品油脂(一部)、マーガリン、ショートニング、食品添加物を作る事業者では専任が必要です

逆にそれ以外の一般的な食品であれば食品衛生責任者となります

これは飲食店営業も含むので小規模のほとんどは責任者、特定の製造を行う場合は管理者をいう認識で間違いありません

ちなみに食品衛生管理者>食品衛生責任者となり、管理者のほうが管理できる幅が大きいです

資格の取得方法

食品衛生管理者も食品衛生法48条に資格要件があります

  1. 医師・歯科医師・薬剤師・獣医師
  2. 大学や専門学校において、規定の過程(医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学)を修了し卒業した者
  3. 厚生労働大臣の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設(大学の食品衛生学コースなど)において所定の過程を修了した者
  4. 高等学校若しくは中学校などを卒業した者(同等以上の学力があると認められた者も含む)で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業や加工業において、衛生管理の業務に3年以上従事し、厚生労働大臣の登録を受けた講習会の過程を修了した者。ただし、この4の方法によって有資格者となった場合は、その範囲は同業種に限られる。

多くの場合は2,3の人を雇い入れる。もしくは4で講習を受ける場合が多いのではないでしょうか

注意点は4の場合のみ、その範囲は同業種に限られるとなっています

もし、あなたが学生であれば、食品衛生管理者の資格を取ることができるのであれば、就職にも有利にも働く可能性があるので取得しておくことをおすすめします

食品衛生責任者とは?

個人の飲食店でも必要です

食品衛生法第51条にて厚生労働大臣が、食品製造の営業者に必要な措置を定められ、それが別表17にまとまっております(過去の衛生規則をまとめたもの)

別表17の最初に食品衛生責任者等の選任の項目があります

別表17の元は食品衛生施行規則の第66条の二の第1項にあります

食品衛生法51で規定 → 食品衛生施行規則第66条の二で具体化 → 詳細は別表17へ(検索するときは数字は漢数字で探してね 51→五十一)

その中では食品衛生責任者について以下のことが書かれています

  • 大項目:営業者は食品衛生責任者を選任しなくてはならない(ここでの営業:食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること)
  • イ:食品衛生管理者は食品衛生責任者兼ねることができる
  • ロ:食品衛生責任者はいずれかに該当するもの(下の資格取得方法で説明)
  • ハ:食品衛生責任者は自治体の講習会を受講し、食品衛生の新たなる知見の習得に努める。営業者の指示に従い、衛生管理に当たる
  • ニ:営業者は食品衛生責任者の意見を尊重する
  • ホ:食品衛生責任者は「衛生管理計画」「手順書」「衛生活動の記録」を作成し、見直す。これらを元に必要な注意を行い、営業者に対して必要な意見を述べるように努める
  • ヘ:ふぐを調理するときは、知識と技術を有する都道府県知事の認めたものに処理させるか、そのものの立ち会いのもとで処理しなくてはならない

まとめると以下のようになります

  • 営業許可を取った事業所ごとに食品衛生責任者が必要です
  • その人は講習会を定期的に受ける必要があります
  • その人を中心に衛生管理を実施してください

資格の取得方法

食品衛生責任者は以下の人がなれます

  • 食品衛生監視員(保健所で指導を行っている人たち)
  • 食品衛生管理者
  • 調理師、製菓衛生師、栄養士、船舶料理士、と畜場の作業衛生責任者、食鳥処理衛生管理者
  • 都道府県知事等が行う講習会、または都道府県知事等が適正と認める講習会を受講したもの(費用は教材込みで愛知県は6,000円、東京都は12,000円など地域ごと)

講習会や届け出は所轄の保健所やその支所にて受け付けていますので一度問い合わせてみてください

営業日当日に受講が完了しているのが必要ですが、所轄の保健所によっては受講日を確定した上で営業を認める場合もありますので今一度確認してください

衛生管理者とは?

労働安全上で必要な資格が衛生管理者です

衛生管理者は上記の食品衛生管理者・食品衛生責任者とは違い、労働安全で必要な資格です

”衛生”とつくので勘違いしやすいですが、食品に限らず必要な資格となります

第一種と第二種とあり、それぞれの内容を説明していきます

労働安全衛生法第12条で決められ、労働安全衛生規則第一編第二章安全衛生管理体制の項目、第三節で衛生管理者の説明があります

要約して記載します

  • 衛生管理者は14日以内に選任すること
  • その事業場に専属の者を専任すること、ただし二人以上の選任の場合は当該者1名はその限りではない
  • 業種の区分に応じ選任すること(農林畜産水産業、鉱業、建設業、製造業(加工業)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業は第一種衛生管理者、もしくは衛生工学衛生管理者。その他は第二種衛生管理者でもよい)
  • 50~200人は1名、201~500人は2名、501~1000人は3名、1001~2000人は4名、2001人~3000人は5名、3001人以上は6名の衛生管理者を選任する
  • 常時1000人を超えるときは一人は専任(選任ではなく)
  • 常時500人を超えるところで、坑内労働や極度に暑い、寒い、振動や放射線などの業務に常時30人以上を従事させる場合は衛生管理者のうち1名を衛生工学衛生管理者免許を持ったものとする

50人以上の事業所(一つの工場や事務所)であれば衛生管理者が必要です!

製造業であれば衛生管理者は第一種となります

主な職務は、労働者の健康障害を防止するための作業環境管理、作業管理及び健康管理、労働衛生教育の実施、健康の保持増進措置です

具体的に、週に1度事業場内の衛生監視点検が必要で、産業医の代わりに衛生状態を把握して報告する業務があります

第一種衛生管理者

第一種衛生管理者はすべての業種の事業場に置いて衛生管理者となることが出来ます

第二種衛生管理者

第二種衛生管理者は有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場においてのみ、衛生管理者となることが出来ます

資格の取得方法

資格を取るには試験に合格しなくてはいけません

科目ごとが40%以上の点数があり、かつ、合計が60%以上

試験の内容は「労働衛生、関係法令、労働生理」の項目で、第二種は内容が有害業務に関わるものを除いています。第一種のほうが有害業務とそれ以外と幅は広いです

試験を受けるための受験資格

受験資格があり、受験するのに手間がかかります

学歴と事業所への業務従事の証明(卒業証書のコピーと事業者証明書が必要※用紙をもらい会社に書いてもらう書類)
  • 大学や高等専門学校(一部)を卒業し、1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • 学士を授与されたものや短大を出たもので、1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • 省庁大学校(防衛大学など)を卒業したもの、1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • 専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者で、学位を授与されるのに必要な所定の単位を習得したもので、1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • 指定を受けて専修学校の専門課程(4年以上)を終了したもので、1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • それ以外の高校(普通科など)や中学校を卒業し、3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • 学歴は関係なく、10年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの

など・・・

となっております。

多くは専門の大学や専門学校を出ていて1年以上の勤務、高校を出て3年以上の勤務で受験資格を満たせるかと思います

改めてですが、食品製造に関わらず50人以上の事業所で必要な資格となるため、チャンスがあれば持っておくことで就職には有利に働くでしょう

まとめ

それぞれの資格一覧

食品衛生管理者>食品衛生責任者であり、どちらも食品衛生法で定められた資格となります

自分たちのやっている業種で必要なものが異なるため、確認して対応しましょう

衛生管理者については、労働安全衛生法の定めとなり、50人以上の事業所では必要となります

ちなみに食品衛生責任者は受講すればできるため、機会があれば取ることをおすすめします

衛生管理者は試験に合格(合計60%以上、各科目40%以上)となっており、実体験ですが1ヶ月以上は勉強は必要です

過去問が繰り返し出ているため、書店で過去問を買い、解説本を買い、ひたすらやることで合格できます

ちなみに手間なのは書類を集めるのは手間でした

受験の3時間は実際は半分の時間あれば十分に終わります

ぜひ、皆さんの参考になればと思います

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ぜひ、一緒に考え、学び成長していきましょう

特にそれぞれの苦労話や、今悩んでいることがあれば、相談ください!

必ず返答させてもらいます





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